ランタイムインサイトとは?
効果的なセキュリティを実現するには、クラウド環境全体を深く可視化することが不可欠です。ランタイムセキュリティはリアルタイムの防御を提供し、ランタイムインサイトはリスクを低減し、より的確なセキュリティ判断を行うための実践的な情報を提供します。
ランタイムインサイトの定義
ランタイムインサイトとは、クラウドセキュリティツールが検出する脆弱性や設定ミス、脅威に対して、リアルタイムの状況を理解するために必要な実践的な情報とシグナルを指します。これにより、セキュリティチームは、どのような問題が存在するのか、そしてどのように対処すべきかを把握できます。
Sysdigによる2025年版Sysdigクラウドネイティブセキュリティおよび利用状況レポートでは、攻撃者は盗まれた認証情報を使用してからわずか10分未満で完全な侵害に至る可能性があることが示されています。このようなクラウド環境の脅威に対しては、定期的なセキュリティスキャンだけでは十分ではありません。リアルタイムの検知と対応が不可欠です。
静的スキャンは、ある時点での脆弱性や弱点を可視化することはできますが、継続的ではありません。そのため、高度かつ迅速に実行される攻撃に対して隙を与えてしまう可能性があります。
そのため、強固なクラウドセキュリティにはランタイム保護が求められます。ランタイム保護は、コンテナ、VM、サーバーレス機能などのクラウドワークロードが実行されている環境そのものを保護します。これにより、クラウドインフラ、アプリケーション、システム全体の可視性が向上し、セキュリティギャップや弱点を解消できます。
ランタイムインサイトは、脆弱性や脅威に関するテレメトリーデータをリアルタイムで文脈化し、イベントの相関分析、リスクの優先順位付け、適切な対処の実行を可能にします。
ランタイムインサイトは、以下のようなさまざまなユースケースをサポートします。
Runtime insights power multiple use cases, including:
- 脆弱性管理(Vulnerability Management):多くのチームは、膨大な脆弱性に圧倒され、明確な優先順位を持たないまま修正対応を進めてしまいがちです。ランタイムインサイトは、実際に使用されているパッケージに関連する脆弱性を特定し、リスクや悪用の可能性が高い重大な脆弱性を優先できるようにします。
- クラウドセキュリティポスチャ管理(CSPM):クラウドの設定ミスは未知の攻撃経路を生み、ポスチャドリフトを引き起こします。CSPMツールは問題箇所を特定しますが、ランタイムインサイトを組み合わせることで、リスクの優先順位付けが可能になり、設定ミスと実際のランタイム脅威を関連付けることができます。
- クラウドインフラ権限管理(CIEM):CIEMツールは過剰な権限を持つアカウントを検出します。ランタイムインサイトは、実際の利用状況に基づき、どの権限を削除すべきかを可視化します。
- クラウド検知・対応(CDR):CDRツールは、従来のEDRでは対応が難しい高度なクラウド脅威を検知・対応します。ランタイムインサイトを追加することで、リアルタイム対応が可能になり、インシデント調査の精度も向上します。
クラウド環境、アプリケーション、データを脅威から守ることは、多くの組織にとって大きな課題です。クラウドワークロードを攻撃から保護し、設定ミスによるリスクを防ぐには、クラウドインフラ全体を広範かつ継続的に可視化することが不可欠です。
ソフトウェアサプライチェーンの脆弱性や、未知の脆弱性を含むサードパーティ製ライブラリやコンポーネントの利用など、セキュリティギャップは攻撃者に侵入の機会を与えます。
ランタイムインサイトは、ゼロデイ脆弱性や進化する脅威に対応するための重要な基盤となります。リアルタイムかつ包括的な可視性を提供することで、攻撃者に悪用される前にセキュリティギャップを特定できます。
また、多くのクラウドネイティブセキュリティツールは、さまざまな脆弱性や脅威を検出できますが、それぞれのリスクの大きさまでは十分に示せない場合があります。ランタイムインサイトは、その不足しているコンテキストを補い、リスクの優先順位付けやインシデント対応の判断を支援します。
さらに、ランタイムインサイトは「シフトレフト」セキュリティの実践も支援します。これは、ソフトウェア開発ライフサイクルの早い段階からセキュリティを組み込むアプローチです。そのうえで、実行時にはアプリケーションやデータを保護する「シールドライト」戦略を実現できます。
ランタイムインサイトのメリット
ランタイムインサイトは、CDRソリューションやその他のセキュリティツールが収集するシグナルやテレメトリーデータに、必要なコンテキストを提供します。
主なメリットは以下のとおりです。
- ノイズの低減:セキュリティチームは限られた時間の中で、効果的かつ効率的に対応する必要があります。ランタイムインサイトにより、どのアラートを優先すべきか、どれが実際のリスクを伴わないのかを判断できます。
- 脆弱性の優先順位付け:: 実際に使用されているパッケージに含まれ、悪用される可能性が高い重大な脆弱性を特定できます。これにより、優先的に修正すべき対象が明確になります。
- 設定ミスの発見と是正:攻撃者に悪用される前に、設定ミスや過剰な権限を特定し、修正できます。
- セキュリティツールの活用強化:CNAPP や CSPM などのクラウドセキュリティツールは脆弱性や脅威を検出・修正できますが、ランタイムインサイトを組み合わせることで、より深いコンテキスト、リスクの優先順位付け、追加の可視性が得られます。
ランタイムセキュリティがランタイムインサイトへと進化する仕組み
ランタイムインサイトは、実行時に実際に起きている事象に基づいてセキュリティ判断を行うことで、クラウドワークロードやインフラの保護を強化します。コンテナ、VM、Kubernetes、クラウドアカウント全体から収集されるテレメトリーに基づき、リスクを評価するために必要なリアルタイムのコンテキストを提供します。
ランタイムインサイトは、プロセス実行、ファイル操作、権限変更、ネットワーク接続などのシステムレベルのテレメトリーから得られます。サービスおよびオーケストレーション層では、クラウドAPIコール、IAMロールの挙動、サービス間通信、ワークロードのメタデータなども対象となります。これらのシグナルにより、ユーザー環境で「今まさに何が起きているのか」を把握できます。
このデータを活用することで、セキュリティチームは分散したイベントを相関分析し、リアルタイムで状況を理解できます。たとえば、コンテナがリバースシェルを起動した場合、システムコール、コンテナメタデータ、プロセス実行情報、アイデンティティ情報などを関連付けることで、横展開(ラテラルムーブメント)が発生したかどうかといったランタイムインサイトを導き出すことができます。
Sysdig のランタイムインサイトで、進化するクラウド脅威に先手で対応
高度化するクラウドセキュリティ脅威に対処するには、深い可視性と十分なコンテキストが不可欠です。ランタイムインサイトは、マルウェアの検出と対処、脆弱性や設定ミスの特定と是正、そしてクラウドワークロードに対するリアルタイムの保護を可能にします。
Sysdig はクラウド環境全体にわたってテレメトリーを継続的に収集・相関分析し、組織が実用的なランタイムインサイトを引き出せるよう支援します。これにより、セキュリティ脅威に先手で対応し、データ侵害が発生する前に検知・対処することができます。
Falco を基盤とする Sysdig により、脆弱性の削減、権限ギャップの解消、潜在的な攻撃経路の特定、そしてクラウド侵害のリアルタイム阻止を実現します。
